「もう武器はつくらない」平和への想いを込めたスタンドアクセサリーは美しく空間を演出する

「もう武器はつくらない」平和への想いを込めたスタンドアクセサリーは美しく空間を演出する


箸置き、ビアカップなど人々の生活に密着した様々な製品を生み出している高田製作所。なかでも純度の高い錫を使った愛らしいアクセサリースタンドの人気には定評があります。

そんな高田製作所の第一歩は、日露戦争中に兵器工場で働いていた創始者の「もう、武器はつくらない」「亡くなった人達のための仏具を作りたい」という、想いと共に始まったのです。

今回は、人が持つ「ものづくり」への初期衝動を、その本当の意味を私たちにもう一度考えさせてくれる高田製作所についてご紹介します。

高田製作所の変遷と進化

factory workshop interior and machines

富山県にある高田製作所の始まりは、平和と鎮魂の思いがこもった仏具作りから始まりました。その当時、製品の素材のメインは真鍮(しんちゅう)でしたが、時代と共に人々のニーズが推移していくのを敏感に肌で感じていた高田製作所の常務取締役である高田晃一さんは、アルミの鋳造にもその製作の間口を広げていきます。

そして、高田製作所創始者の孫でもある高田さんがデザインしたソープディッシュは、富山のコンペにて賞を取り、シャープで洗練されたデザインのフラワーベースは、世界的にも知られているイタリアのモンテールからも認められました。

しかし、フラワーベースに関しては、デパートにも置かれて売り上げも好調だったにも関わらず、先鋭的過ぎるデザインは時に人を傷付けるのではないか、高田製作所の創始者である祖父のポリシーと反するのではないかという高田さんの愚直なまでの思いから、潔く製作を停止しました。

代わって高田さんがごく身近な人の喜ぶ姿をイメージしながら作り始めたのが、錫(すず)を素材としたテーブルウェア製品なのです。


高田製作所は純度の高い錫を使っており、制作の工程は手作業となるために量産は困難ですが、量産よりも良い品質の製品を提供していきたいというのが高田製作所の仕事のやり方です。

その誇りある姿勢が、テレビや雑誌でも取り上げられることになるヒット製品「15.0%」という、どんなカチカチなアイスも熱伝導でサクサク食べられるまろやかなフォルムのアイススプーンや、持ち主が自分で好きにカスタマイズできる愛らしいアクセサリースタンドの誕生へ繋がっていくことになるのです。

自由自在に枝振りを変化できるアクセサリースタンド「Squirrel(リス)」


代々、高い鋳造技術を培ってきた高田製作所がテーブルウエアブランドとして新たに立ち上げたのが、「SHIROKANE」でした。その中でも、「Squirrel(リス)」というアクセサリースタンドは、それ自体がオブジェのようであり、ちょこんとしたうさぎや猫、小鳥等の可愛らしい姿がそっとスタンドに添えられています。

おそらく、これを見た人はふと口元が綻び、心が和むのを感じられるのではないでしょうか。この製品は、シンプルかつ癒されるデザインであり、持ち主がその日の気分でスタンドのメインとなる木や枝、葉っぱまでも折り曲げたりすることができます。

それに加えて、自由自在に持ち主が曲げたり伸ばしたりするのに耐えうるだけの耐久性としなやかさを保つ錫製品には、高田製作所だけの企業秘密となっている制作工程も含まれており、使う人々の笑顔を思い浮かべながら「ものをつくる」という、職人達の思いが随所にちりばめられているのです。

伝統と創造から新しい「ものづくり」の歴史を重ねていく

Worker in Asian manufacturing plant

時が移ろい、星は流れ、人が生まれて死んでいく。それでも人の想いは途切れず繋がっていく。脈々と続いていく高田製作所の想いや、ものづくりの姿勢を見ていると、「人は、考える葦(あし)である」という、パスカルの有名な言葉が自然と浮かんできます。

また、高田さんは自身の製作所だけに留まらず、地域伝統産業全体の推進や活性化をしていこうと、小学校でものづくりの授業を行ったり、伝統産業の青年会にも参加したりと、日々精力的に活動しています。

しなやかに、その時代のニーズに合わせて人が笑顔になるものを生み出していく。高田さんの名刺にはこう書かれています。「モノをつくることは、人を愛すること」。

この言葉通り、信念あるものづくりを続けている高田製作所。これから先、どういう製品やデザインが創造されていくのか、目が離せそうにありません。

出典:
タカタファクトリー
http://imono.com/

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