少年時代、誰もが憧れたテレビの中に登場するロボット。
いつか自分もロボットをつくってみたい……と思った経験がある方も多いのではないでしょうか。そんな夢を持ち続けたエンジニアたちが自作のロボットを戦わせる熱い大会「ロボットコンテスト」が毎年、日本各地で開催されています。
老若男女問わず、長く人に愛されているロボットコンテスト、通称「ロボコン」。
今回はTVで報道されている全国的に有名なものから、規模は小さくともユニークなものまで様々なロボコンのご紹介をします。
NHK学生ロボットコンテスト
「ロボコン」と聞いてほとんどの人が思い浮かべるのは、1991年から開催されており、長い歴史をもつ「NHK学生ロボットコンテスト」ではないでしょうか。国内で優勝したチームが、アジア・太平洋ロボットコンテストに駒を進めることができるという、非常に国際的な競技規模を持つ大会でもあります。
毎年、ロボットの競技内容は変わるのですが、2015年のテーマはバドミントンのダブルスでした。優勝したのは早稲田大学のチーム。2台のロボットがお互いにサポートし合いながらラリーを続ける様に、観客は大興奮でした。
2016年のテーマは”エネルギー“となっており、いかに風力や磁力等の”エコエネルギー”でロボットを動かし、障害物をかわして早くゴールするかを競います。どんなロボットが現れるのか、どこのチームが優勝するのか、今から注目が集まっています。
NHK学生ロボットコンテスト:http://www.official-robocon.com/jp/daigaku/daigaku2016/index.html
海洋ロボットコンペティション
日本は四方を海に囲まれた島国ですが、海には最近話題のメタンハイドレートや石油等、たくさんの資源が眠っているということは一般的にはあまり意識されていません。なかでも沖縄は、広大な海域があって豊富な海洋資源がありつつも、これまで専門の研究施設が無いために研究者のスキルアップはなかなか困難な状況でした。
そういった中で、次世代の日本の海洋文化の発展・活性化を目指して開催されているのが「海洋ロボットコンペティション」なのです。
ロボットでいかに早く海中にある目標物を見つけて、フレームアウトせず鮮明に画像を撮影できるか、の正確さを競う「ROV部門(Remotely Operated Vehicle)」と、海中を走行・浮上しながら決められた時間内にどれだけ遠くまで進めたかを競う「AUV部門(autonomous underwater vehicle)」があります。
このような大会をきっかけに技術力を磨いていくことが、将来的に海洋資源を活用するための糸口となっていくのです。
海洋ロボットコンペティション公式サイト:http://www.robo-underwater.jp/rchp/JPN/index.php
レスキューロボットコンテスト
阪神・淡路大震災をきっかけに、 2000年から開催が始まったレスキューロボットコンテスト。主催側の願いはレスキューロボットコンテストを通じて、より多くの人達の救命に対する意識が高まっていくことにあります。
実戦さながらの状況を想定し、遠隔操作式のレスキューロボットを使ってがれきに埋もれたダミーを安全に救助できるかどうかを競います。
「コンセプト、技術力、組織力」を総合的に判断して、最も優れたチームに対して贈られる「レスキュー工学大賞」を2015年度に受賞したのは、制限時間内に全てのダミーのレスキューを成功させた大阪工業大学のロボットでした。
この大会があることによって、レスキューロボット開発のための技術力の向上はもちろん、観客に対してはレスキューに関する関心が高まっていることは間違いありません。
レスキューロボットコンテスト公式サイト:http://www.rescue-robot-contest.org
ROBO-ONE
出典:ROBO-ONE
ROBO-ONE(ロボワン)は、2足歩行のロボットにおける格闘競技大会です。ロボット達の戦いぶりは観客たちを熱くさせ、勝負が決まった時には歓声が上がる程の迫力で大人気です。
相手を10秒以内に立ち上がれないくらいのダメージを与えたり、立ち上がれるくらいの軽いダメージでも3回転倒させたら勝ち等、ルールが詳細に設定されています。
2016年で28回目となったこの大会で優勝したのは、吉田ファミリアチームのガーゴイルキッドでした。このROBO-ONEがかなりの盛り上がりを見せているため、最近では初心者向けに「ROBO-ONE Light」という市販ロボットを使って、初心者も参加可能な大会や、「ROBO-剣」というアーム型ロボットの剣道大会も開催されています。
ROBO-ONE公式サイト:http://www.robo-one.com
ロボコンが生み出すロボットの可能性
ロボットを開発する原動力は、少年時代にテレビで見たり、ロボットのおもちゃで遊んだ時のわくわくした経験にあるのではないでしょうか。
誰もが覚えたことのあるその感情を持ち続け、努力を重ねることで実際に形にしたエンジニアと、そのロボットの二人三脚のストーリーが戦いから垣間見れるからこそ、ここまでロボコンが支持されているのでしょう。
ユニークなものやニッチな分野まで多く開催されているロボコン。ただ技術力を戦わせるにとどまらない、理屈ではないストーリーがそこにはあります。1度近くで開催させているロボコンを見に行ってみると、想像以上に感動してしまうかもしれません。