折り鶴や紙飛行機、兜や手裏剣……幼い頃に折り紙で作ったことがある方も多いことでしょう。
この折り紙は平安時代に「贈り物を美しく梱包するためのもの」として流行し、伝統文化として受け継がれてきました。そして現在、「折り紙」は海外で「Origami」と呼ばれており、海外の折り紙アーティストによるレクチャー動画には、世界中から絶賛の声が寄せられています。
近年は折り紙に大きな注目が集まっていることから、折り紙に着想を得たプロダクトが世界中で続々と登場しています。その斬新な発想にはあなたも「ここに折り紙の技術が?!」と驚くことでしょう。
今回は、その中でも興味深いプロダクトをご紹介します。
AQUA(アクア)折り紙コインケース
浅草にあるYAMATOU(山藤)は、今年創業117年目を迎える老舗の革小物店です。1970年代後半、日本のメーカーとして初めてルイ・フェロー(フランスの有名ファッションデザイナー)のライセンス商品である革財布を製作したことでもその実力は広く知られています。
そんな歴史を持つYAMATOUが新たに提供するコインケースが、AQUA(アクア)です。極薄の革を使い、軽くて薄い質感、まるで紙の折り目のようなふっくらとした素材感を持たせようと職人の技術が凝らされています。特筆すべきは、100円玉であれば約30枚も入るという抜群の収納力。さらには約10gという驚きの軽さを誇るなど、見た目だけではない機能面にも優れた商品であることが分かります。
公式サイト:AQUA(アクア)折り紙コインケース 商品ページ
Sa
ニューヨークの腕時計ブランドであるNooka社は、傘の内側と外側を折り紙の様に重ねて折り合うことで、格段に耐久性に優れた傘を実現させました。この傘の「Sa」という名前は、「かさ」、雨を意味する「さめ」、傘を「さす」といった言葉を由来としています。Saは骨を一切持たず、傘地、中心部分、持ち手の部分は全てリサイクル可能なプラスチック1種類で出来ています。
仕組みそのものはとてもシンプルであり、持ち手の部分を動かすことで中心部分を開閉できるようになっています。折りたたむ様子からは、折り紙を折るようなスマートな印象を受けます。
SaはクラウドファンディングサイトであるKickstarterで出資を募集し、目標金額を達成。そして89ドルで予約販売も始まっています。
公式サイト:Sa 購入ページ
Evolution Door
出典:Clemens Torggler’s doors and paintings
「折り紙の技術を活用したプロダクト」と聞いて、こんなに大きなものを連想する人はまずいないでしょう。この「Evolution Door」というオブジェクトは、オーストリア在住アーティスト、クレメンス・トーグラー氏の試作品です。
まるでSF映画に出てくるような斬新な動きをする扉です。スタイリッシュかつ不思議な構造に見えますが、仕組みはこれも折り紙の要領を用いています。組み合わされた4枚のパネルを動かした際、折り紙の様にお互いを折り込みながら開閉する力を利用して扉になっています。
パネルは柔らかい素材でできており、指を挟んで怪我をしてしまうこともありません。その他にも指一本で開け閉めが行えたり、コンパクトに扉が収納することができるなど、折り紙技術ならではのメリットが多数盛り込まれています。
公式サイト:Clemens Torggler’s doors and paintings
PAPER DRESSES for Bershka
パターン化された幾何学模様が美しい、Bershka(ベルシュカ)のドレス。こちらは世界各国の店頭ディスプレイ用に製作されたものであり、紙の柄は各国それぞれのイメージに添っています。ドレスには折り紙の技術が活用されており、細部をよく見るとくす玉のように細かく織り込まれていることが分かります。
驚きなのは、たった1着のドレスを作るためにはなんと10時間もの時間が必要である点です。同じ要領で製作された傘やバッグも、芸術品のような美しさを持っています。
公式サイト:PAPER DRESSES for Bershka 紹介ページ
折り紙モルフォバッグ
小さく折りたためるので、持ち歩きに便利なエコバッグ。折り紙の技術をヒントに、究極に折りたたんで小さくする収納することを追求して生まれたのが、このモルフォバッグです。コンパクトに折りたためる一方で、A4サイズのものが簡単に入れられる大きさを有しています。
また、このモルフォバッグは使い古した製品から新しい繊維を作る、「エコサークル」という完全循環型リサイクル素材を使用して作られています。
公式サイト:MoMA STORE 折り紙モルフォバッグ 商品ページ
世界中が注目する”折り紙”
私たち日本人が小さな頃から遊び慣れ親しんできた折り紙ですが、大人になるにつれて、折り紙に触れる機会が減ってくることだと思います。ものづくりの分野に限らず、世界的に注目されている折り紙の仕組みはやはり素晴らしいものです。
折り紙からインスパイアされた美しくも斬新なプロダクト達。
試しにひとつ手に入れて、人にその製品の仕組みについて話してみてはいかがでしょうか。きっと、新しい楽しみを味わえるに違いありません。