美しいかんざしや小判。これらは16世紀頃から続く板金技術による品々です。板金加工の製造業である山崎製作所が展開する新ブランド「三代目板金屋」は、板金技術による伝統美に加え、社員たちの斬新なアイディアによるデザインと匠の技術によって新たな2つのエクセレントブランド「neo大和撫子」、「無機質」シリーズを生み出しました。
今、現代の和モダンメタルインテリアに挑戦するブランドとして注目されている「neo大和撫子」、「無機質」シリーズの美しさの秘密を紐解きながら、それぞれの素材の良さを最大限に生かしたシリーズのプロダクトの魅力について紹介いたします。
板金技術でインテリア家具?
山崎製作所は静岡県清水市で小さな部品から大型の産業機械のカバーに至るまで、あらゆる板金加工品を製作しています。 女性社長の山崎かおりさんは「子供未来プロジェクト」などで女性の働き方についての講演活動もされる凄腕社長。リーマンショックで売上が低迷した時期、お父様に代わり社長に就任され経営を立て直します。
今、目指すのは板金の可能性のさらなる追求。生活に密着した道具としての板金から、デザイン重視のインテリアとしての美を求めます。冷たい感じがする無機質な板金ですが、着眼点を変化させて「無機質=シンプル・イズ・ザ・ベスト」という発想の転換をした商品開発を試みています。
「Modern metal 無機質」は、板金の究極の無機質感をさらに洗練させることで、しなやかな輝きと宝石のような恍惚感が感じ取れます。
「neo大和撫子」は板金のなめらかな曲線美で、日本人女性の中にあるたおやかさ、美しく品があり、凛とした芯のある心を表しています。
neo大和撫子、誕生の裏側
2014年5月から始まった「neo大和撫子」ブランド。3年ほど前までは、実用的な防災用コンロや、発電ストープを男性視点で開発していたそうです。そのような中、企画、デザイン担当者に女性を採用したのをきっかけに今のプロダクトが出来るようになったそうです。
しかしながら実際にデザインを形にするのは男性。女性的な気配りに満ちたデザインの実現が難しく、板金で表現しきれないなどのハプニングもありますが、女性デザイナーの臨機応変な対応で円滑に進めているといいます。
板金から生まれた美しすぎるインテリアたち
「neo大和撫子」ブランドの看板商品である「琴音」「香流」。
「琴音」は多面体に描かれた4つの模様がきらびやかな照明です。「青海波文様」、「麻の葉模様」、「七宝文様」、「市松文様」から溢れだす恍惚としたやわらかな幻影がお部屋に浮かびます。何の装飾も施していない、シンプルを極めたモダンデザインの板金から、燈籠のような艶やかで暖かい光が流れ出る様相は見る人を感動させます。
「香流」は帯と水の流れを掛け合わせたファンタスティックな和。シックなパステルカラーのグリーンとパープルで帯の表裏に見立てた和テーブルの表裏を可愛らしく色づけています。
テーブルのラインや、中心部分ににうかぶ型抜きされた帯締め模様、なめらかな曲線美は、大和撫子の女性らしいたおやかさを感じさせます。帯が途中で、コロンと坂道を転がるように斜めに下りて行き、反対側からの水の流れと合流する和テーブルの様相。熟練した板金技術をもった匠によるハイクオリティなプロダクトだからこそ表現できるスタイリッシュな艶。何気ない和室というスペースを都会風な現代アートに七変化させる不思議な照明と和テーブルです。
板金の素材自体を生かす「無機質」のプロダクト
みんなは「板金」 ってどんなイメージある? > https://t.co/6GGExb4vmy 『無機質だけど…なぜか温かい「三代目板金屋」 #IFFT2015』 pic.twitter.com/QrxJAQDIGH
— roomie(ルーミー) (@roomiejp) 2015, 11月 26
「無機質」シリーズの2つの作品「octagon」と「honeycomb」には板金の素材を最大限に引き出すためのデザインと匠の技が散りばめられています。
「octagon」は余計なものを削り落としシンプルなステンレスのマテリアル感を引き出しています。切削の冷たさはなく、そこにあるのは宝石のようなきらびやかさや優美なラインです。
「honeycomb」は六角形のコンパクトなテーブルがトリオでそろったものです。3つの各テーブルは自由に組み合わせができ、テーブルと床の35センチほどのすき間部分は、棚にもなります。テーブルとして3つ並べてもよし、重ねてお気に入りのものたちのボックスにするもよし。個々人の好みにあわせた使い方を選ぶことができます。棚部分にランプやろうそくを立てるとステンレスに光が反射し、お部屋全体が幽玄な雰囲気に。
女性の発想で、商品開発
「三代目板金屋」ブランドの「neo大和撫子」、「無機質」シリーズは東京ビックサイトの展示会「IFFT /インテリア ライフスタイル リビング」に出展したり、静岡県庁のラウンジに展示されたりと、大きな一歩を踏み出しています。
その秘密は山崎社長の発想の転換、そして社員への厚い信頼関係にあるようです。ながらく男性中心の社会だった板金業界で、企画やデザインに女性を抜擢したことにより、社員同志の信頼による絆、匠の技術によるクオリティーと品質、仕事に対するプライドが社員それぞれにも新しく生まれたからです。
日本の伝統技術と女性的な細やかなデザインの融合でワクワクを与えてくれる「neo大和撫子」、「無機質」シリーズ。この和モダンメタルインテリアの今後のプロダクト展開にも要注目です。
■出典
山崎製作所
http://www.yamazaki-metal.co.jp/company/index.php
三代目板金屋
http://www.bankin-ya.jp/