企業同士が専門分野を持ち寄り、共同で新しいプロダクトを開発する動きが加速しています。
例えば、気分に合わせてデザインを変えられるイヤーアクセサリ「VIEWS」。これは凸版印刷、白球、昭和機電の3社がそれぞれの専門技術を持ち寄って共同開発したものです。3社の連携によって、今までにありそうでなかったイヤリングが誕生しました。
1社だと技術面もアイディアにも限りがありますが企業連携により、それぞれの専門領域の知見を共有することで開発できるプロダクトの幅が広がるのです。
そんな大きな可能性を秘めた企業連携。これまでにどんなプロダクトが生まれたのかをご紹介します!
電子ペーパーの技術でできたイヤリング「VIEWS」
先にも紹介したように、「VIEWS」は、凸版印刷、白球、昭和機電の3社それぞれの専門技術が企業の枠を越えて持ち寄られ、開発されました。その中で、凸版印刷はそもそもの企画開発や「VIEWS」の柄の部分にあたる電子ペーパー部材の供給を行っています。
電子ペーパーは現在、これまでの液晶ディスプレイに代わるプロダクトとして、ラベルやディスプレイの分野で台頭してきています。液晶ディスプレイと比較すると消費電力が少ないのも大きな特徴であり、なかでも凸版印刷は自社で商品設計、開発、製造まで行えることから電子ペーパー業界全体を牽引する存在でもあります。
広告の企画・制作、戦略コンサルティングを行う株式会社白球は企画のディレクションやプロデュースを担当し、デザインによって世の中に新しい価値を与えることを信条にしている株式会社昭和機電は、このデザインとモジュール開発を担っています。
「VIEWS」は実際に身に着けるシーンやその日の気分次第でデザインの変更が可能で、何と50通り以上のカラフルなデザインが楽しめるのです。「VIEWS」にはこれだけの先端技術が詰め込まれているにも関わらず、3gという軽さで一般的なアクセサリーと遜色ありません。重いイヤーアクセサリーを装着すると痛みや頭痛が生じる事もありますが、この軽さなら安心ですね。
流行やおしゃれに敏感な女性であれば、手にとって付けてみたくなること間違いないでしょう。
介護と靴作りのノウハウを組み合わせたおしゃれな介護シューズ「Poem(ポエム)」
日本は、今や4人に1人が高齢者という、超高齢者社会に突入しています。今後も国民の高齢化が進む中で、高齢者のニーズにあわせたプロダクト開発が各分野で急務となっています。
では、高齢者のニーズに応える、快適かつ心のこもったプロダクトとは、具体的にどういうものを指すのでしょうか。ここでは、婦人用シューズの製造販売を行う株式会社パンジーが、介護サービスの提供や老人ホームの運営を行うオリックス・リビング株式会社との企業提携によって生み出した、おしゃれなデザイン性をもった介護シューズ「Poem(ポエム)」をご紹介いたします。
このPoem、足に優しいストレッチニット素材を用いていたり、高齢者の繊細な足裏を守る為の柔らかいインソールは取り外し可能であるなど、機能的で履き心地が良い事は勿論なのですが、見た目にも楽しいカラフルなデザインもまた特徴です。「楽に歩ける喜び」を噛みしめてほしい、さらには「おしゃれをして華やぐ気持ち」も大切にして欲しい、そんな高齢者への想いが、機能性にもデザイン面にもこめられています。
独自の開発技術と大手のノウハウで開発!鮮度を守り注ぎやすいパッケージ入りワイン「フランジア」
日本のワイン会社と言えば、メルシャンをイメージされる方は多いのではないでしょうか。そのワインを中心とした酒類の製造・販売をしているメルシャン株式会社と親会社である大手飲料メーカーのキリンビール株式会社の共同開発によって、パッケージ入りワイン「フランジア」が新しくリニューアルされました。
「ワインを飲むお客様への、おもてなしの心。」
これが、両社が連携する一番の原動力だったそうです。メルシャン株式会社の包装設計技術とキリンビール株式会社の幅広い分野の飲料を開発してきた知見を合わせて開発が進められたパッケージには、隅々に趣向が凝らされています。
例えば、蛇口をひねって水を出す様に簡単、かつ最後まで衛生的にワインが注げたり、特製バッグでワインが空気に触れないようにして新鮮さを長持ちさせたり、冷蔵庫への収納を考慮して缶ビール500㎜と同じ高さになるように設計したり等。ワインを飲むに至るまでのお客様の動線が丁寧に考慮されてつくられているのです。
SHARP×電動工具メーカー!業務用お掃除ロボット「ロボプロ」
最後に紹介するのは、あの大手電機メーカーSHARPと電動工具メーカーであるマキタが共同開発した、話題の業務用お掃除ロボット「ロボプロ」。
両社は2013年に業務資本提携を行っているのですが、このお掃除ロボットの開発には両社がこれまでに培ってきた高い技術力が共存しています。具体的には、SHARPの自動走行やセンシングの技術と、マキタが展開してきたバッテリー システムとが組合わされて製品化されており、たった2本のバッテリーでテニスコート2.5面分という広範囲のお掃除が可能、という圧倒的な性能を実現したのです。
また、このお掃除ロボットはマキタブルーと呼ばれる独特の色合いをしており、業務用ならではの機能的なデザインがかっこいい!と、ネット上でも話題です。
ものづくりへの想いを増幅させる”企業連携”
今回ご紹介した製品や企業は幅広い分野に分かれていますが一つだけ、どれにでも共通する点があります。それは「ユーザへのまごころ」と「本当に使いやすい、質の良いものをユーザに提供したい」という、ものづくりの根本に絶対に必要な強くあたたかい想いです。
各企業の根幹にあるこの想い無くして、ものづくりは続かないということを、私たちはこれからも知り続けていきたいものです。