ブラジャーで乳がんが見つかる!?がんの早期発見に貢献するテクノロジー3選

ブラジャーで乳がんが見つかる!?がんの早期発見に貢献するテクノロジー3選


2人に1人。
これは、全国健康保険協会によって発表された、日本人が“がん”にかかる割合を示しています。さらに、亡くなる方の3人に1人の死因は“がん”なのだそうです。

まさに日本人の国民病とも言えるがんの一番恐ろしいところは、“初期段階では自覚症状がほとんどない”ことにあります。そのため、早期発見ができず発見されたときにはすでに手遅れになっているケースが多いのだそうです。

こうしたがんの猛威に抗うべく、近年、科学の力を活用し、早期発見が手軽にできるプロダクトの研究開発が進められています。今回は、“ブラジャーで乳がんを見つける”装置をはじめとして、科学の力とものづくりの融合がもたらす、がん発見の革新を見ていきましょう。

2022年に実用化予定!“呼気”に含まれる成分からがんを検知

shutterstock_159554021
まず紹介するのは、“呼気”を利用し、がんの早期発見を促すためのツールです。

研究の中心となっているのは、茨城県つくば市の国立研究開発法人、物質・材料研究機構(NIMS)。呼気を吹きかけると、数ミリ四方の微小なチップに搭載されている膜が呼気に含まれる成分を検知し、がんの疑いがあるかどうかを判定する仕組みになっています。

こちらが、ごく微量であっても特定の分子を検出できる「膜型表面応力センサー(Membrane-type Surface stress Sensor:MSS)」です。物質・材料研究機構に、京セラ、大阪大学、NEC、住友精化、NanoWorld(スイス)を加えた6機関が合同で研究を進めており、目標は2022年の実用化。将来的には、センサーをスマートフォン内に搭載し、個人でも手軽にチェックできるようになることが期待されています。

今や誰もが持っているスマートフォンを利用してがんのチェックができるようになれば、私達にとってがん検診がより低価格で身近なものになります。がんの早期発見が促進され、がんの影響を最小限にとどめることができるようになるのではないでしょうか。

また、呼気を利用してがんのチェックができる、こんな発明もされています。

@v2.designsが投稿した写真

開発したのは、ポルトガルのデザイナー・Susana Soares氏。前もって特定のにおいをハチに覚えさせておき、呼気にそのにおいが含まれていると、ハチが小さな部屋に移動する仕組みです。がんに限らず、肺結核や糖尿病など、呼気に特定のにおいが検出される病気でも使えるとのこと。

パブロフの条件反射によって、10分以内ににおいを記憶するよう訓練することができる上に、一度嗅いだにおいは忘れないという、ハチの性質をうまく利用しているのです。

斬新なデザインをしており、2013年のDutch Design Weekにも出展されました。電気を使用することなく病気を検出できるので、設備や環境が整っていない場所での検診も可能にするものとして、注目されています。

精度はなんと87%!?ブラジャーを着けるだけでがんの発見が可能に!

shutterstock_364443959
続いて紹介するのは、女性なら誰もが着用する“ブラジャー”を使って、乳がんの発見ができるというものです。

アメリカのCyrcadia Health社が商品化を進める、この「iTBra」という商品は、普通のブラジャー内に小型のセンサーが搭載された措置を装着することで、体内の発熱を検知し、乳がん細胞を発見できる仕組みになっています。“がん細胞が活性化すると、細胞が熱変化を起こす”というがんの性質を利用した発明。検査方法は簡単で、“12時間着用するだけ”です。


ブラジャーには、上の装置を取りつけます。発見の精度も非常に高く、500人を超える被験者テストでは、なんと 87%のがん患者を発見することに成功しています。

乳がんの検診では、乳房を上下から圧迫してX線撮影を行う“マンモグラフィー”が広く使われていますが、機械で強く挟むため大きな痛みを伴います。そのため、乳がんの検診に抵抗がある人が多いのが現状。「iTBra」が普及すれば、痛みもなく、自宅で手軽に検診をすることができるので、早期発見できる割合が飛躍的に高まるのではないでしょうか。

Googleが行うがん研究の最先端。ナノ粒子が体内を監視してがんを発見!

shutterstock_274885196
最後に紹介するのは、 “ナノ粒子”の力でがんを発見しようとする研究です。研究を行っているのは、Googleの研究機関である「Google X」。磁性を帯びたナノ粒子を血液中に流すことによって、がんをはじめとした病気の兆候をいち早くつかみ、その情報をウェアラブル端末(=自分の身体に装着できる情報端末)に送り、分析するというものです。

このテクノロジーが発達すれば、従来では発見できなかった小さながん細胞でも発見できるようになったり、がん以外の病気にも応用することができるようになったりと、医療の可能性が大きく広がります。

しかし、実用化までには数々のハードルも残されています。“ナノ粒子を体内に送ることによって、体内から病気を監視する”ことを想定していますが、この手法はプライバシーの問題に触れてしまう可能性も。以前からGoogleのプライバシー問題はメディアで取り上げられ話題になっていたので、世論の風当たりが強い中、どのように実用まで持っていくかが今後の課題です。

テクノロジーとものづくりががん治療を変えるか?

shutterstock_131746163
私達が普段身につけるものに“科学の力”が付与されることによって、がんの検診がより手軽にできるようになります。現在では、早期発見が難しいと言われているがんも、近い将来簡単に発見できるようになる日がきっと来るでしょう。

科学の力、そして、生活を便利にしようとするものづくりのマインドは、医療の進歩にも不可欠な要素です。検査が簡単に手軽になり、ハードルが下がれば下がるほど、がんの早期発見に寄与するのは間違いありません。ものづくりがもたらす、”健康な生活”に、今後も目が離せません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です