「ジャパン・ブルー」と言えばどんな色を思い浮かべますか?
スポーツ好きならサッカー日本代表の色、芸術好きなら浮世絵の色を思い浮かべるかもしれませんね。
ジャパン・ブルーの由来は明治時代に遡ります。来日したイギリス人の方が町の至る所で藍色が見られることに驚き「ジャパン・ブルー」と呼んで称賛したのです。当時の日本では藍染が盛んに行われており、それ以外にも藍の薬事効果なども認められて、食用としても生活の中に藍が深く関わっていたようです。
近年、そうした日本の藍に再び注目が集まり、先日の新宿伊勢丹でも青の美にフォーカスしたイベントが行われていました。その中では色としての藍だけでなく、徳島産の阿波藍を使ったスイーツが販売されることも大きな注目の的に。藍の魅力に迫ってみましょう。
藍の中でも最上級!徳島県産の阿波藍
新宿伊勢丹「find,SETOUCHI BLUE~瀬戸内、青へのアプローチ~」にて撮影
日本国内において最もよく知られている藍は、タデアイという植物から取り出します。タデアイは緑茶の葉っぱに似ており、発色のいい緑色の植物です。そんな緑色の植物の色素が繊維に染み込み、空気に触れて酸化すると鮮やかな藍色が現れるのです。
現在は生の葉をそのまま使うのではなく、葉を発酵させて藍の染料を作っています。発酵と聞いてピンときた方もいるかもしれませんね。お米から日本酒ができたり、大豆から納豆ができたりするのと同様に菌の作用によって藍が作られています。こうした方法で藍を作っている場所として最も盛んな場所が徳島県。そこで作られる藍は「阿波藍」もしくは「本藍」と呼ばれ、過去には他の藍染めと別格視される最上級品でした。
現在も阿波藍は、合成の藍のように藍の色だけ人工的に作り出したものでは出せないその色合いと、消臭、防菌効果などによって良い物を求める人に深く愛されています。
こんなところにも藍が使われているの?というようなシーンにも登場するようになった藍の製品達。どのようなものがあるのか見ていきましょう。
檜と藍染の抜群の相性「藍木(あいもく)スピーカー」
出典:yoshimoku
徹底的にその「地元」の素材と、古くから伝わる職人技にこだわった新しい製品が、さまざまな場所で見かけられるようになってきています。
ここで紹介する「藍木スピーカー」もそう。徳島県で木製家具・建具を製作する老舗メーカー「吉崎木製工業」と徳島県の藍染作家、「原田史郎氏」が組んだ徳島県づくしのスピーカーなのです。徳島県産の檜を用い木工職人が手作業で仕上げたケースに、手作業で藍染めのスピーカーグリルが貼り付けられたこの製品は、機械っぽさを見事に払拭した温かみのある和のインテリアそのもの。
小型であることも愛らしく、暮らしの中のどんなシーンにもマッチする置き勝手がよく、贈り物に適した一品です。
ヨシモク/Yoshimoku 公式ホームページ:http://yoshimoku.co.jp/index.html
藍と愛が丁寧に込められた「本藍染の出産祝いセット」
大きなお祝い事の代表格である「出産祝い」。徳島県の藍と愛が込められた「aeru」の「本藍染の出産祝いセット」はいかがでしょうか。
セットの内容は赤ちゃんの体を包む産着、汗っかきの赤ちゃんに欠かせないフェイスタオル、やさしい肌触りの靴下の3つです。
産まれたての赤ちゃんの体に触れるのは天然素材のオーガニックコットン。そして保温性に優れ紫外線も防いでくれる本藍染は、職人の手で丁寧に染め上げられたもの。藍の中でも縁起がいいと言われる「藍勝色」になるまで数日をかけて、藍にストレスを与えないように染められ、それを着る赤ちゃんも伸び伸びと育つようにという願いが込められています。
aeruオンラインショップ:http://www.aeru-shop.jp
長い歴史の中で認められていた薬用効果に再注目した「藍染の石けん」
愛を込めるのは赤ちゃんだけでなく、大切なパートナーにも。
こちらの石鹸は、肌荒れに悩む旦那様のために、奥様が睡眠時間を削りながらも研究を続け、半年かけて完成させた愛の結晶とも言えるものです。
元々、藍は薬用植物としても認められており、食事の際の薬味や煎じ薬に使用されていた歴史を持ちます。この石鹸を作っている「藍色工房」は原料となるタデアイを自家農園で栽培し、よりよいアイエキスの抽出にも余念がありません。また、その他の素材も可能なかぎり植物由来の原料を用いて、肌への優しさを第一に製品づくりを行っています。
自分の肌に触れるもの、毎日使うものは優しくオーガニックなものにこだわりたい。そうした優しさ溢れる製品です。
藍色工房 公式ホームページ:http://aiironet.com
柔らかいラウンド型と柔らかい色合いがマッチする「藍染の眼鏡」
最後に紹介する製品は、国産素材にこだわった藍染の眼鏡です。
「日本の木を使い、日本で作る」ことをコンセプトに、「63mokko」は国産の木材を使用し実用品として使える木の眼鏡を作っています。
木の眼鏡は軽くて疲れにくく、そしてずれにくいという性質をもっています。そうした木材の眼鏡を完全オーダー制で受け、その人にピッタリあうようにその手で作り上げているのです。
桜の木を藍で染めたラウンド型の眼鏡は、いかにもお洒落な佇まいですが、藍の色合いがなんとも穏やかでその人の知性を丸く引き出してくれます。
63mokko 公式ホームページ:http://www.63mokko.com
藍に気づく人、気づかない人
20世紀は生産効率化がなによりも重要視された大量生産時代であり、手間をかけてつくられるものはどんどん少なくなっていきました。今世紀に入ってからはその反動で、昔ながらの丹念な手法でつくられたものの価値がどんどん高くなってきています。
良いものを選び、その良さを感じられる感受性を、今こそ大切にしたいものです。
古くから伝わる”藍”から出る、香りや質感を一度手に取り体感してみてはいかがでしょうか。