自然の竹を使った軽く・強靭な「バンブーバイク」はアフリカの命と生活を繋ぐ

自然の竹を使った軽く・強靭な「バンブーバイク」はアフリカの命と生活を繋ぐ


今や日本では買い物、移動に自転車の存在は当たり前になっています。ところが広い世界では、自転車がないために便利な生活ができない国や地域があるのです。

いっそのこと、オートバイや自動車があれば……と思うかもしれませんが、ガソリンを手に入れるにも、配給を含めた燃料のインフラ整備が必要です。自転車が買えない地域では、インフラもオートバイも自動車も購入できる資金がありません。

そんな国に自転車を供給する試みが、アフリカのザンビア共和国で始まっています。

アフリカで自転車があれば・・・

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アフリカ南部の内陸部にあるザンビア共和国は大自然が豊かな美しい国です。ザンビアとジンバブエとの国境を流れるザンベジ川には、世界三大瀑布の一つ、ヴィクトリアの滝があり、アフリカを代表するゾウ、カバ、キリンなどが多く住んでいます。

しかし、ザンビアは人口の6割以上となる約700万人の国民が1日1.90ドル以下で生活する貧しい国の一つでもあります。この1.90ドルは世界銀行が定める貧困ラインでもあります。

子供たちの朝の仕事は水汲みです。それも片道1~2時間かかる沼や川まで行くため、学校に通うことができません。自転車があればその時間を短縮でき、通学も可能となるでしょう。また、病人を運ぶ交通手段がない中、自転車があればすぐに病院に行くことができます。ザンビア国民にとって自転車は生命を託する手段にもなりえるのです。

自転車があれば、ザンビアでの生活が変わると考え、ZANBIKES COMPANY(ザンバイクス・カンパニー)は、地元の人々を雇用して自転車を製造・販売し、ザンビア国民の命を守る企業活動を始めました。

ザンバイクスは5年間で自転車1万台以上、病人や妊産婦を運搬する救急自転車1000台以上を生産、供給しました。2009年には750台の救急自転車を供給し、2010年には5万人の命が救われたといいます。同時に、のべ100人以上の雇用を生みました

昨年からザンバイクスは、地元で育つ「竹」を用いた高品質な自転車フレームを開発しました。スチールに比べ、原材料が豊富に地元にあり、企業運営が安定すると同時により現地での雇用を拡大することが可能となりました。また、竹の軽さと強靭さから、理想的な自転車フレーム素材として注目されています。

バンブーバイクが貢献していること


竹は気候が温暖で湿潤な地域にのみ存在します。アジアの熱帯、温帯地区に多く、オーストラリアの北部、インドからアフリカ中部に限られます。北アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカには存在しません。ザンビアにとっては、まさに地元特産の竹を使って新しい産業の創出を行ったのです。

また、竹の独特の「しなり」は、優れた振動吸収性を発揮し悪路でも走破性能が高いばかりか、ペダルを漕ぐ人の力を増幅して推進力に変えます。乗車した人の疲労も少ないと言われています。ザンバイクスで使う竹は、工場裏で3年ほど生育された、太く強度の高い2種類の竹から選びだします。

乾燥を早め切り口の割れ目を防止する安定剤処理をした後、数カ月乾燥。オーダーに合わせて選ばれた乾燥後の竹は、専用のジグにセットされます。強度が必要な部分はアルミ製パーツが組み合わされ、本格的なロードバイクとして使える剛性、強度が備わります。

フレームの竹パイプは、エポキシ樹脂を浸したサイザル麻の繊維を接合部にきつく巻き付けて固めます。ヤスリで表面処理をした後、フレームに耐水・耐候性の高いポリウレタン樹脂を三層にわたって塗り、乾燥させて完成させます。

「地元の竹」という、環境負荷の小さい素材を使い、同時に新たな雇用と生活改善を国民に提供するのがバンブーバイクです。また、ザンバイクスが得た利益は、職業訓練や雇用の拡大、工場の増設等に再投資されます。

雇用と資源への貢献も


もともと貧しい国の生活環境を改善する目的に作られたバンブーバイク。地元に生えていた「竹」に注目すると、それが自転車のフレーム素材として優れていたことが判明しました。先進国へもエコ自転車である、バンブーバイクが広がる可能性さえ秘めます。

さらに、ザンビアの人々の移動手段として、病人の搬送など生活が改善され、さらに雇用が生まれています。ザンバイクスの試みは、後進国にも産業創出のチャンスがあるばかりか、人類が限りある地球資源と未来に渡ってどう取り組んでいくかを示す好例となっています。

■出典
ZAMBIKESホームページ:http://www.zambikes.jp/index.php

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