沖縄発の様々な素材を、現代的でおしゃれなファッション小物として新たな命を吹き込んでいる「HABERU」というブランドの取り組みをご存じでしょうか。最近の「HABERU」は、沖縄の伝統的な織物など、どれも沖縄と縁の深い素材をぴりっと小粋な蝶ネクタイへとアレンジしています。
そこで今回は、美しい沖縄の伝統布製品と最先端ファッションショップのコラボともいえる蝶ネクタイが生み出されるまでの背景をご紹介します。
HABERUとは
「HABERU」と言う不思議なブランド名。これは、沖縄の古い言葉である琉球語で「蝶」という意味をもつそうです。
ひらひらと飛びながら、花の花粉を運んで次の花が生まれるのを助ける蝶。「HABERU」も蝶と同じく、沖縄の職人や製造者達が心を込めて作った沖縄製の素材と、新しいアイデアの間を軽やかにしなやかに繋ぎ、咲きたての花のような美しいものづくりを展開しているのです。
「HABERU」の手によって一番新しく咲いた花が「うらそえ織」とのコラボレーションで生まれた蝶ネクタイなのですが、それより前から沖縄独自の染め物である紅型(びんがた)と呼ばれる素材や、知花花織(ちばなはなおり)と呼ばれる織物が蝶ネクタイの形になって咲き誇っているのです。
うらそえ織
沖縄県の中部に位置する、浦添市から送り出される美しい織物。
「うらそえ織」と呼ばれているこの織物は、糸の染色や糸引きという糸を引きのばす作業、そして原料となる養蚕や蚕の食べる桑の葉っぱまで全てが浦添市で作られたものです。一織り、また一織と丁寧に機織りをして大切に作り上げてきた沖縄の小さな伝統の流れ。「うらそえ織」は単なる製造だけではなく、地域の人々の繋がりを大切にしており、織物の見学などを通じて子どもの育成にも力を入れています。
きらきらと光をはらんで豊かに輝く美しい「うらそえ織」の織物達。「うらそえ織」の目指すところは「古来よりの手法」と「斬新さ」を融合した新しい織物です。これらは、刺子織の技術を使って、輝く沖縄の太陽などを表しているそう。そんな沖縄の心意気がぎゅっと詰まった「うらそえ織」を使って「HABARU」は新しい花である蝶ネクタイを皆さんに届けようとしているのです。
「うらそえ織」と「HABERU」コラボレーションの蝶ネクタイはシーンを選びません。素材は厳選された繭、すなわちシルクですのでフォーマルな席で身に付けるのももちろんぴったりですし、カジュアルダウンしたシャツに付けるだけでも引き締まり、洗練された印象に変わります。
知花花織(ちばなはなおり)
沖縄県沖縄市で、昔から一般の人の晴れ着用に作られてきた「知花花織(ちばなはなおり)」。
沖縄ならではの、おおらかで自由な柄とシンプルな木綿の組み合わせでできており、織物なのに刺繍を施したように立体的なのが特徴です。「知花花織」は明治末期に一度途絶えかけたものの、地元の人達の尽力により今もなお沖縄の地に根付いています。そんな沖縄の織物に魅せられ、横浜から沖縄に移住して来た織物職人である橋川初美さんは、その「知花花織」作成の全行程をたった一人で行っているのです。
「ロック」「ポップ」、そして「動物」をこよなく愛する橋川初美さん。その愛するもののイメージを「知花花織」に込めて、キャッチ-にデザインしています。これを付けて、デートにも、ライブにも、動物とのふれあいにだって行っちゃいましょう!
紅型(びんがた)
琉球王国の王族や貴族の為の織物が紅型(びんがた)です。
沖縄生まれ沖縄育ちの姉妹ユニット「カタチキ」は、紅型を染色、裁断、縫製、仕上げまで全て手がけて作り出しています。伝統を尊重しつつ、沖縄生まれの姉妹はその沖縄の風土や自然を紅型に取入れて現代へ送り出しています。
そんなユニット「カタチキ」が手がける紅型と「HABERU」が出会い、美しいホタルガラスがきらりときらめく蝶ネクタイが出来上がったのです。
「カタチキ」の産み出す紅型は、そもそも沖縄の高貴な人達の為のものでした。
この為、現代においても正式な場所につけていっても堂々と出来ますが、不思議とシックな着こなしだけに留まらず、付ける時間も場所も問わず様々なシーンにしっくりと馴染むのです。
現代ファッションと沖縄の伝統をつなぐ「HABERU」
沖縄の地域に根ざす「うらそえ織」。世界の動物を愛する心から生まれた「知花花織」。素材から作り手、何もかもが純沖縄産の「紅型」。どの製品も、沖縄ならではの情緒に溢れつつ、制作者は伝統を守るだけではなく新しいことに挑み続けています。
そんな制作者の心意気をくみ取りながら「HABERU」は現代的なファッションと沖縄の伝統を組み合わせた鮮やかな花を作り出してきたのです。
■出典
HABERU公式サイト(http://haberu.co/)