ファッショントレンドのキーワードは“アップサイクル”?むしろ使いたくなる超クールなエコグッズ×5

ファッショントレンドのキーワードは“アップサイクル”?むしろ使いたくなる超クールなエコグッズ×5


サステナビリティ、つまり持続可能性とは、現在あらゆる経済活動で考えなければならないテーマです。それは私たちが身に着けるファッションアイテムでも同様です。従来のように、新規の原材料を湯水のごとく使用し、次々と新製品を作る、という考え方は、徐々に変化しつつあります。

廃棄される素材、あるいはそもそもゴミだったものなどを材料にし、新たな商品を作る、こうしたいわゆる“アップサイクル”の概念にのっとったアイテムが、いま注目を受けています。もちろん、ファッションだけにデザイン性は非常に重要です。エコにしてハイデザイン。今回はクールかつサステナビリティに溢れたアイテムをご紹介しましょう。

海に捨てられたペットボトルが原料!デニムが魚を救う


オランダのデニムブランド「G-Star RAW」が、海に捨てられたペットボトルから作ったリサイクル糸によって生み出す、デニム中心のコレクションが「RAW for the Oceans」です。このコレクションを主導しているのは、アメリカの音楽プロデューサー・歌手であるファレル・ウィリアムス氏。彼はペットボトルをリサイクルして高性能な糸を製造する「Bionic Yarn社」の経営に携わっているのです。

原料として使われているのは、インドネシアの海岸に落ちているペットボトル。海に落ちているごみを餌と間違えて食べて死んでしまう魚が後を絶たないということが深刻な問題になっています。こうした状況に問題意識を感じた「G-Star RAW」がファレル・ウィリアムスに声を掛け、このようなコレクションが実現したのです。

ファッションという領域を超えた可能性について模索する「G-Star RAW」と、環境責任を果たすことをテーマに置いたリサイクル糸を作る「Bionic Yarn社」の方向性が一致したことによって生まれたこのコレクション。環境を守るためのゴミ拾いはなかなかできなくても、服を買って着ることによって環境保全に貢献することができるのです。

原料はパイナップルの葉!?7年の歳月をかけて生み出された機能性抜群の繊維

honargardiさん(@honargardi)が投稿した写真


通常廃棄されるパイナップルの葉を使ってバッグを作り出しているのが、「ananas anam」というブランド。天然資源を用いた繊維の開発に関し、国際的な関心が高まる中、パイナップルの葉をもとに作り出した「Piñatex™」という新素材を開発しました。開発したのは、CEOでありデザイナーでもあるCarmen Hijosa氏。着想を得たきっかけは、フィリピンの男性の正装である「バロン・タガログ」という服でした。

正式なパロン・タガログは、伝統的にバナナやパイナップルの葉の繊維から作られています。これをヒントに試行錯誤を重ね、なんと7年もの歳月を経てPiñatex™の開発に成功。気になる機能ですが、汎用性、通気性、軽さ、柔軟性も高く、プリントや裁断も簡単に行うことができるのだそうです。この素材は天然素材なので最後に土に還すことも可能。プロダクトとしてエコなだけでなく、パイナップルを栽培し、それを売ることで生活しているフィリピンのパイナップル農家に、新たな収入源を与えるという価値も提供しているのです。

折りたたまれた布を広げると服になる!?“再生と創造”をテーマにした三宅一生の挑戦

Konさん(@minca_14)が投稿した写真


ファッションデザイナー・三宅一生氏が率いるチーム「Reality Lab.(リアリティ・ラボ)」が、環境や資源に配慮した進化したものづくりをテーマに生み出したブランドが「132 5. ISSEY MIYAKE」です。 ペットボトルやポリエステル素材の衣服を分子レベルまで分解し、高純度のポリエステル繊維へと再生しているのだそうです。”再生と創造”をキーワードに、2年に渡る研究が重ねられて生み出されました。

このブランドのプロダクトが優れているのは、エコであることだけではありません。下の動画をご覧ください。

平面に折りたたまれた布を持ち上げると、徐々に立体が浮かび上がり、服の形になるのです。CGの技術を用いて平面から3次元の完成形を作り上げ、それを折りたたんでプレスしているのです。折り線や切れ込みが入れられることで、服にはさまざまな表情が浮かび上がります。

素材を“再生”し、これまでの概念を覆す服を“創造”する。まさにキーワードに掲げる“再生と創造”を体現させたプロダクトです。

地域を巻き込むエコ活動。キーワードは“コルク栓”

Bread Labさん(@bread_lab2015)が投稿した写真


年間で1億2千万本ものワインが消費される東京で、コルク栓を再資源化して商品にするプロジェクトが行われています。そのプロジェクトとは「TOKYO CORK PROJECT」。プロジェクトを運営する株式会社GOOD DEAL COMPANYの北村真吾氏が飲食店で働いていた当時、捨てられていく大量のコルク栓を上手く活用できないのか考え、実現されたものなのだそうです。コルク栓を再利用してプロダクトができるまでの過程は以下のようになっています。

1.使用済みのコルク栓を収集し、再生させるための分別・洗浄作業を行う
2.きれいなったコルク栓を粉砕する
3.粉砕したコルク片を圧縮して、固形化する
4.ブロックやボード、シートなど、用途に合わせて加工しやすいように切断する
5.プロダクトを作る

プロジェクトが開始され2010年当初は、コルクを集めるために、都内にある飲食店に一軒一軒お願いをして回っていたのだそうです。地道な努力が実を結び、現在ではお店側から協力の申し出が来るのだといいます。こうしたエコの取り組みを自分達の中だけで完結させるのではなく、周囲を巻き込むことによって、エコに対する意識を広めることに成功しているのです。

サーフィン世界王者が考案!漁網素材のアパレルブランド!?


アメリカのプロサーファーで、11度も世界王者に輝いたケリー・スレーター氏が、立ち上げたアパレルブランドが 「OUTERKNOWN」です。日常的に海と生活を共にするサーファーならではの視点が織り込まれ、プロダクトが作られています。キーワードはまさに“サステナビリティ”。限りある資源を有効に使いたいという思いが溢れている次の動画をご覧ください。

プロダクトに使用されている素材は、Econylと呼ばれる高級ナイロンなのですが、なんとこれは漁網を再生して作っているのだそうです。“植物から繊維を取って服にする”というのは、私達にも想像がつきますが、あの硬質な漁網から作られた素材で服を作り出そうという発想は、まさに海に生きるスレーター氏ならでは。

“流行に左右されず、長く使ってもらいたい”という彼の考え方が反映されているため、そのデザインはシンプルでミニマム。現在日本のセレクトショップでも販売されているので、気になる方は購入してみてはいかがでしょうか。

デザイナーのものづくりによって”エコ活動”が手軽なものに

今回紹介したプロダクトの数々は、資源を再利用して作られているにもかかわらず、どれも洗練されたデザインのプロダクトばかりです。デザイナー達はものづくりを通して、エコ活動を“進んで実践したいもの”に変えてしまうことができるのです。スタイリッシュなプロダクトを身につけているだけで、エコに貢献できる。これこそがアップサイクルがもたらす大きなメリットなのです。

皆さんも、普段身につけているものや使っているものがどんな素材からできているのかということに興味を持ち、エコ活動の手段を見直してみてみてはいかがでしょうか。

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