東京のさまざまな場所で開かれる建築やデザインに関するイベント。ライターをしているEさんが運営しているブログ「a+e」に掲出したもののから、ものづくりと関係の深いイベントレポートをピックアップしてご紹介します。
“NIESSING×名和晃平「 CELL / FORCE 」”
南青山の[NIESSING TOKYO(ニーシング東京)]にて、京都のSANDWICHを拠点に活動する彫刻家の名和晃平氏とコラボレーションした展示会「 CELL / FORCE 」が、10月22日から約1ヶ月間開催される。
前回は濱田英明氏による写真展「Family of NIESSING」、その前は「Graffiti’ Rings by Hideyuki Nakayama for Niessing (グラフィティリング by 建築家・中山英之)」、今年で3回めの特別イベント(監修:岡田栄造氏/S&O DESIGN、本展企画も同氏)。特別なとき以外はジュエリーとは縁遠い男性や、見てみたいけど・・・と躊躇していた女性でも誰でも、イベント目当てで気軽に訪れることができる。
NIESSINGはドイツが誇る高品質のモダンジュエリーブランド。同社のジュエリーの展示台となる作品を名和氏がオリジナルで制作、同店にて期間限定で公開中。
フライヤーやショップの外に掲示されているバナーにも使われている、”手押し車”のような作品は店の奥に。
名和氏は今回、NIESSINGとのコラボレーションとして、リング「シフレ(Chiffre)」をベースとしたデザインを提供(金色のリングは「ラビリンス(Labyrinth)」というNIESSIGNの別の製品)。
シフレはカラーバリエーションが3種類あるK18(18金)のリングの表面に、10個のドットを刻み込むことで、オリジナルの絵柄やメッセージを込めることができる。今回は本展のテーマである「CELL FORCE」の刻印が。”CELL”はこれまでの名和作品でも主題となっている”細胞”であり、クラフトマンシップに溢れたNIESSINGの指輪を身につけることで、その人の内なる力となる、細胞ひとつひとつから力が沸いてくる、そんなメッセージを込めている。
店内にはあと6つ、NIESSINGと名和氏がコラボしたショーケースがある。それにしても、名和作品を”下敷き”にするとは、高品質ジュエリーとはいえ、なんと贅沢なことだろうか。
「シンボロン(Symbolon)」は純金と純プラチナという2種類の金属を1つのリングにしたもの。
「美術と技術の融合」を掲げたバウハウスのデザイン思想を受け継ぐNIESSING。実は、名和氏は今回のイベントをきっかけに初めてNIESSINGに接したそうだ。2年前のコラボ展を行なった建築家の中山英之氏も同様で、その際に「ザ・ニーシングリング」の製造方法とコンセプトに感銘を受けていたが、名和も同社の高いクオリティ、デザインに共感し、実現のはこびとなった。
「ブレイデッドライン(Braided Line)」
載せるジュエリーを予め決めたうえで、そのジュエリーひとつひとつにあうものを名和氏が考えて制作している。
「ボゥネックレス(Bow Necklace)」
「トピア(Topia)ペンダントトップ」
ジュエリーショップと聞くと、つい先入観から内面に壁をつくってしまうが、ジュエリーとはいえプロダクツ。人の手と想いがつくり出すもの。どうやってつくられているのかといった製造の背景をショップのスタッフが教えてくれるので、買う/買わないは(申し訳ないが)別として、同じようにふだんはあまり縁のない金属にも触れられて、とても勉強になる。
NIESSING×名和晃平「 CELL / FORCE 」は[ニーシング東京]にて11月23日まで開催。
ニーシング東京
http://niessing.jp/shop/n_tokyo.html
※ブログ「a+e」とは、建築、アート、デザインなどのイベントを観た後で、なにかおいしいものも食べて帰ろうという個人の備忘録です。
当コラムは書き手のEさんから許可を得て、イベントレポートに関して転載許可を得ています。